帰りに空を眺めて歩いていると、満月でもなく、三日月でもなく、半端に欠けた月が、空に浮いていた。
まるで私のようにいびつな形がおかしくて、私は足をとめて眺めていた。
しばらく月を眺めていると、変な気分になってくる。
半端な私が半端な月を、半端な月が半端な私を眺めている。
そうしてじっと見つめていると、月の心が私に染み渡ってくる。
満月の時間は短くて、人も完璧と思える時間は短いけれど、それでも月は輝いている。
思わず綺麗と呟いて、その瞬間に理解する。
人は、完璧でないからこそ輝くために、頑張ることができる。
人は言葉では伝えられない思いがあるからこそ、言葉を使う。
私もまた、頑張ろう。
本を読まないという人にこそ、綺麗な言葉が綺麗な言葉であることを感じて欲しい。
欠けた月の美しさを知らない人にこそ、欠けた月の美しさを知って欲しい。
そしていつかあなたにも、月の美しさが届いて欲しい。
月があまりに綺麗だから。
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純文学作家(自称)
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