ずっとずっと緑を探している。
イメージしているのは人が踏み入れたことのない森の深淵にひっそりとそびえ立つ大木が纏う濃い緑である。
だが、そのイメージを深緑(ふかみどり)という言葉に置き換えて現実世界に探すと、該当する色は未だ見つからない。
緑色の光を分析すると、546.1nmの波長が真緑であり、webカラーで表せば#008000で、RGBであれば(0, 128, 0)で緑を表現できる。
およそ500-570nmの波長の色相が緑であると定義されている。
この波長に、黒と白、それに青、赤も少し混ざっているだろうか、そんな緑を求めている。
水性や油性の画では、緑色を表現するのに、Cu2(CO3)(OH)2の単斜結晶である孔雀石が主に使われる。
この孔雀石は洞察力のアップ、危険回避に効くとされ、贈り物にも喜ばれる。
さて、この孔雀石がなぜ緑色なのかと考えると、孔雀石自身は緑色ではないのではと考えられる。
原子分析器などで測定すれば、孔雀石の本当の振動数が分かるだろう。
では孔雀石がなぜ緑色なのかといえば、孔雀石自身の出す色に混ざり、Cu2(CO3)(OH)2が浴びるたくさんの光の中から、特定の光線を反射するからである。
それが緑なのである。
では、なぜ孔雀石は緑色を取り込まず反射するのかと考えると、緑が嫌いだからか、または別の理由があるに違いない。
恐らくCu2(CO3)(OH)自身の波長が500-570nmの波長とは重ならず、弾き返すからである。
なぜか。人類はまだまだ分からないことだらけである。
ちなみに、孔雀石に秘められた言葉は「危険な愛情」である。
エメラルドより深く妖艶に光る緑の瞳。
その光りに惑い、狂気に落ちていく男の物語が頭に浮かぶ。
それを癒すのが深い緑の色である。
緑の物語と言えば、『オズの魔法使い』でドロシーが最初に飛ばされたのが緑(エメラルド)の国であり、『みどりいろのトラ』という荘厳な宮殿をみどりいろのトラが闊歩するという物語があり、村上春樹が『ノルウェーの森』で描くみどりは、死と再生を象徴している。
緑にはさまざまな物語がある。
私もまた、私にしか書けない緑にまつわる話を、いつか書きたい。
祭多まつりのWEB SITE
純文学作家(自称)
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