まつりさんを悼んで

30年前、僕がまだ子供だったときはかっこいい大人がいた。

お金をもっている大人が、かっこいいんじゃなかった。
いい服を着て、いい車に乗っている大人が、かっこいいんじゃなかった。
仕事のできる大人が、かっこいいんじゃなかった。

人の話を聞いてあげられる大人がいた。
弱い者を助けられる大人がいた。
汚い大人と戦える大人がいた。

そんな大人に憧れて、僕たちは大人になった。
なのに僕らはいつのまにか、何もしない大人になった。

なぜ疲れている人に、誰も休んでと言えなかったのだろう。
なぜ大丈夫?と誰も声をかけられなかったのだろう。
なぜ死ぬこと以外に道を作ってあげられなかったのだろう。


かつて憧れた大人に、僕はまだなれるだろうか。
僕らは、まだ戦えるだろうか。


今夜は叫ぶ。
今はそれしかできない僕を許して欲しい。
いつかあなたが戦ったものに勝てるように。



ブルーハーツ

その時おまえには何が言えるだろう
その時友達と何を話すだろう
見せかけばかりじゃない
口先だけでもない
いつか見るだろう 同じこぶしをにぎりしめて 立つ人を
きっと見るだろう
そのとき僕たちは何ができるだろう
右手と左手で何ができるだろう
命のあるかぎり 忘れてはいけない
今しかぼくにしか できないことがある


2018.07.30  祭多まつり

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純文学作家(自称)