昨夜のことである。
バッヘルベルのカノンを聴きながら眠りにつくと、まどろみの中で夢を見た。
漆黒の宇宙(そら)を、一羽の巨大な鳥が羽ばたいている。
私の意識がその鳥を追うが、鳥はぐんぐんスピードを上げて、宇宙の彼方へと飛んでいってしまった・・・
目を覚ますと、私の目には涙が溢れていた。
最近、輪廻や生まれ変わりに関する本ばかりを読んでいた。そのせいだろうか。
前世療法というものが、治癒としての方便ではなく、物理的な法則として実際の過去が現世の脳に記憶として生じるのであれば、人類の願いはすでに、叶っている。
ときどき、川の水が高き所から低き場所へ流れるのと同じように、人の生は無常であるとの思いに包まれる。
そして、その思いを強くすればするほど、振り子のようにその後でくる、存在に対する意味付けが強まるのを知っている。
ある言葉について、誰が口にしたかは関係ない。
例えば、SNSを開いたときに最初に目にした見ず知らずの方の投稿。
たまたまテレビから聞こえてきた誰かの言葉。
街で見かける広告。
言葉はすべて何かの導きかのように私に意味をもたらす。
もちろんきっと、そんなことはない。
精神が高揚しているのだろう。
考える。あの宇宙鳥はどこに向かっているのだろうか。
考える。なぜ人は生きているのだろうか。
考える。分からない。
感じる。宇宙鳥は向かっているのだ。
私も、あなたも、人類も。きっと。
祭多まつりのWEB SITE
純文学作家(自称)
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