深まる季節に染められて、木の葉の色が落ちていく。
風が吹き、枝から一枚、葉が離れ、左右に揺られて落ちていく。
不確かに、それでも当然のように葉は舞って、先に落ちた枯れ葉の上に恋するように確かに重なる。
秋、一枚の若葉が枯れ葉を目指して確かにカレル。
季節の変わりに順応できずに身体が風邪をひく。
人の変わりに順応できずに心が風邪をひく。
煎じた忘れ草では癒されず、
身体に溜まった憂さを晴らすべく、歌に慰み求めて、女の歌う声に声を重ねる。
秋、病んだ身体のためか、無理に発した声のためか、喉がカレル。
誰にもなびかぬ女と口を重ね、身体を重ねる。
身体はとうに枯れていて、喜びを知らぬが、変わらぬ心に安堵する。
枯れた心に水をいれ、枯れた身体が赤く染まる。
秋、届かぬ思いを胸に、一人の女に好カレル夢を見る。
祭多まつりのWEB SITE
純文学作家(自称)
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