日常

明けない夜はないと知っているのに、闇に飲まれそうになりながら自分と戦っている。
明日はきっとやってくる。
そう信じて「今」を生きる。
世界は今日も動いている。

朝日が昇る。当たり前のことが特別に感じる。当たり前ではない日常はもっと特別に感じる。
世界は今日も動いている。

ご飯を食べる。いつも食べているお米がいつもより美味しいのはきっと錯覚だけれど、いつもご飯を食べられることは、本当は特別ことだと感じる。
世界は今日も動いている。

電車に乗り、仕事に出かける。椅子に座り眠る者。熱心に新聞を読む者。アナウンスの声。釣りさがった広告たち。
沢山の人が仕事をしている。
世界は今日も動いている。

電車から降り、改札をでる。
冷たい風が頬にあたる。
冬が近づいている。
街路樹の葉はすでになく、寒そうに立っている。
車道を車が走っている。
信号が黄色く点滅している。
世界は今日も動いている。

今日は誰かにとって日常で、今日は誰かにとって特別な日になる。
耳にイヤホンをつけ、音楽を流す。
誰かにとって日常の曲で、誰かにとって特別な曲を。
世界は今日も動いている。

誰かのことを考える。
世界は今日も動いている。

言えなかった想いを思いだす。
世界は今日も動いている。

雨は大丈夫だろうか。
世界は今日も動いている。

10月最後の日。
世界は今日も動いている。

私は。
世界は今日も動いている。

あなたが。
世界は今日も動いている。

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純文学作家(自称)