人生、宇宙、すべての答え

空海に『三界の狂人は狂せることを知らず、四生の盲者は盲なることを識らず、生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、死に死に死に死に死んで死の終わりに冥し』という言葉がある。
人は無明の中で生まれ、無明に帰っていく。
はじめから何もなく、ということは、終わりということもない。
なのに人は、さまざまなことに喜び、そして苦しむ。
もともと何もなかったのだから、と考えても、やはり生きている以上は涅槃に到達できない。
だが、それでいい。
Google先生に「人生、宇宙、すべての答え」を問うと数字の42が返ってくる。
生きるとは、本来はそれぐらいシンプルなことなのだろう。
笑いたいときに笑い、泣きたいときに泣く。
お腹が空けば、食物に感謝しそれを食べる。
美しいものに感動する。
情愛も湧く。
欲望に囚われることもあるだろう。
嫉妬、ねたみ、やっかみの感情も湧きあがる。
妄言も吐く。
我先にと、利己的に振る舞うこともまたある。
それが生きることである。
そうして人はやがて、土に還る。
後には何も残らないのだろうか。
否。
あなたはちゃんと生きていた。
それが、すべてである。

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純文学作家(自称)