男はみな、おとぎ話や映画に登場するようなヒロインを探している。
だが、プリンセスとの関係性において、王子という役が相応しくないとき、男は魔法使いになったり、意地悪な姉のダンス相手だったり、継母の従者になったりする。
物語の質を高めるのはドラマ性と各役者の演技力だが、最も大事なのは、ヒロインのヒロイン性である。
無自覚なプリンセスのままでは、物語(人生)は退屈なままである。
そこで男(ときには魔女)は、ヒロインに制約を与えたり、魔法をかけてみたり、ガラスの靴に合うヒロインを探したりする。
そしてヒロインがヒロインとして自覚しはじめると、物語は加速し、活気をおびてくる。
言うなれば、ヒロインははじめからヒロインだったわけではなく、ヒロインになり輝くのだ。
この秋、世界にどんなヒロインが誕生するのか、楽しみにしている。
祭多まつりのWEB SITE
純文学作家(自称)
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