パジャマデーと5日間

「パジャマを選んで下さい」という指令を貰ってから5日の間ずっと、パジャマについて考えていた。
そもそもパジャマとはヒンズー語のパージャマーが由来である。
では、パージャマーとはヒンズーの神々か何かだろうか。
それはきっと空前絶後に可愛いらしいモコモコした美神に違いない、なんて想像していたら1日が過ぎた。
2日目、そもそも女の子はどんな格好で寝ているのだろうと疑問に思った。
俺は寝ている女の裸しか知らない、と見栄をはってみる。
ネットでパジャマを調べると、商品がいろいろでてくる、でてくる。はたして本当にこんなパジャマをみな着ているのだろうか。
鼻血がでてくる。でてくる。
3日目、ようやく血も止まり、再びネットで調べる。
今度は生の声を聞くために、ブログや掲示板や日記でパジャマを検索すると、いろいろでてくる。
「パジャマの第2ボタンをはずして・・」だとか「パジャマの上から・・・」の言葉が並んでいる。
鼻血はでない。
これでは想像できない。
そもそもどんなパジャマを着ていて、
第2ボタンを左手の親指と人差し指に挟んだときの緊張感や、手の甲が膨らみと掠れるほどに触れる仕草だとか、露伴先生に匹敵するぐらいのリアリティーが必要である。
そんな推敲をしていたら夜が明けた。
4日目、図書館に行く。
パジャマの歴史を調べる。
そもそも平安貴族などはどんな格好で寝ていたのか。
庶民に寝間着なるものが広まったのはいつからでなぜか。
昭和から平成のパジャマ史。
パジャマの海外事情はどんな具合か。
なるほど、なるほど。
私はもはやパジャマの権化である。パジャマについて知らないことはない。
5日目、市場に出かける。パジャマのままで。
パジャマ、パジャマ、パジャマ。
パジャマを探して5日目、近所のショッピングモールでようやく本物のパジャマを見つける。
それはまるでお姫さまのようである。
これを着た女の子は夜、お姫さまになるのだ。
ベッドの中でも夢を見る。
朝がきたら王子様の目覚めのキスとともに目をあける。
パジャマとは夢と魔法のアイテムである。
家に帰りさっそく指令の返事をする。
「裸で良いですか?」

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純文学作家(自称)