結局夏らしいことは何一つせぬまま、秋の準備を始めている。
梅雨の時期には海や花火を楽しもうと誰かれ構わず遊びに誘っていたはずなのに、いざ夏がくると秋のことばかり考え、夏を誰かと過ごすなんてことはしないのである。
せっかく取った年休も、昼間からビールを喉に流しこみ、甲子園の白熱の配信をスマホから眺め、夜は夜でウィスキーの氷を転がしながら10末締切の冴えない男の物語を紡いでいるうちに終わってしまった。
ここ数年、同じような日々を繰り返している。
そうして時々いたたまれなくなり、痛飲のあげく泥酔に陥るのが定例であったが、
今年こそは、という発起が、今年で終わることを願っている。
兎にも角にも、夏が去りて冬が来て、再びまた夏が来るのを待っている。
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純文学作家(自称)
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