誤解している人がたくさんいるが、剣の世界では宮本武蔵が一番強いというわけではない。
吉川英治などの影響でNO.1は武蔵という認識が一般的には広まっているが、
武蔵より強い剣客なら、上泉伊勢守など歴史上たくさんいる。
宮本武蔵の評価すべき点は、彼の徹底したプラグマティズム(実用主義)にある。
『五輪書』を読めばそれが分かる。
若い頃、武蔵は60余りの真剣による死合いをして全てに勝ちをおさめている。
だがそれはたまたま自分が相手より強かった、相手の体調が悪かった、自分が少しばかり器用だった、それだけだと言っている。
それで武蔵は死合いを止めた。
そのような偶然が左右するものではなく、また老いて役に立たなくなる兵法ではなく、
偶然の入る予知のない「至極」に到達すること。
武蔵が求めたのはそれである。
ではその武蔵の求めた実の道の反対は何か。
「外道」である。
「外道」とは道の外、つまり偶然の中でもがく生き方のことである。
現代には外道がたくさんいる。
それに対し、自らも即物的で力任せな対応をしたのでは、勝利はおぼつかない。
そうではなく、あくまでも実の道を進むこと。
さすればあなたは絶対の勝利者となる。それが宮本武蔵の答えである。
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純文学作家(自称)
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