他の人にとってはガラクタでも、自分にとってはかけがえのない大切なものというのがある。きっと誰にでもあるだろう。
子供の頃は飴色のビー玉や、愛用していたシャーペンや、使い易さとはかけ離れた擬人化された文房具やクシャクシャのタオルなどが私のお気に入りBoxにしまわれていた。
それらのものは、中学生になるときに全部捨ててしまった。
中高時代は漫画やら雑誌やら文庫本を買い集め、読後は書棚に並べていたが、それも20歳のときにまとめて処分した。
思い出の物と言えば学生時代に熱心に稽古していた剣道の防具や竹刀だが、先日実家に帰ったときに探してみると、それももうなくなっていた。
30年来手元にあった黄金の仏像も春に失くなり、私の匂いのついた物はもはや何一つこの世にはない。
思えば私に物欲はほとんどなく、一番のガラクタである思い出ばかりを集めて心に閉まっている。
そろそろそれも言葉で供養してしまって、誰にも知られない土地でひっそりいきていこうか、などど考えたりもする。
祭多まつりのWEB SITE
純文学作家(自称)
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