偶然

『サイの角の如く唯一人歩め』という言葉を知ってから、そのように生きてきた。
私に信仰の力はないが、世界を憎んでいるわけでもない。
100万年に一度現れる天女が、100万回に一度、天界にあるヒマラヤほどの岩の上にその身を休める。
その時天女の羽衣が岩の表面を僅かに撫でる。
その岩がすべて削りとられまでの時間に、この世は存在すると言われる。
人の魂もまた同じ。人の生には限りがあるが、我々の存在の内にもまた果てしない時間が存在する。
永遠ともいえる気の遠くなるような時間を抱え、我々は生きている。
我々の出会いもまた果てしない偶然のうちの一つである。

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純文学作家(自称)