雨垂れ岩を穿つ

一滴一滴躊躇うことなく岩の上に滴る水滴が、同じ箇所に何度も落ちることにより、不可思議と呼ばれる永遠と等しいほどの時間をかけてやがて岩をも貫通する。
雨垂れ石を穿つという言葉があるが、まさにそんなイメージが頭に浮かんでいる。
また、1人の刀匠が火に淹れた鉄を金槌で狂いなく一定のリズムと力で得物を鍛えていき、やがて鋼鉄をも両断する刀が出来上がる。
私が今、心に内包しているのはそんなイメージである。
狂気が孕みそうな時間と空間の中で、狂うことなく一つの所作を完遂させる。
無機質で機械的な動作の繰り返しに見える行為の中に、生命にさえ感じる絶対的な何かが宿る。
私が実践するはそういったす地平のものである。
揺るぎない信念を持って私は言葉を生み出していきたい。


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純文学作家(自称)