大切な人を失くすというのは、想像を絶する悲しみがあると思う。
残された人は言葉にならない慟哭を胸に抱きながら生き続けなければならない。
作家であり、医師であった故渡辺淳一さんは、高校時代に恋人がいたが、その恋人は赤いカーネーションを渡辺さんに残し、阿寒湖のほとりで自死をとげている。
渡辺さんの著作と言えば「失楽園」や「阿寒に果つ」、「愛の流刑地」などの男女の情愛をテーマにしている。
それはきっと、慟哭から生まれた渡辺さんの、生きることへの答えであったように私は思う。
正直に申せば、私は夜の闇にときどき負けそうになる。
「なぜお前はまだ生きている?」という問いが、闇の中から聞こえてくる。
ときに私は詫びながら、ときに私は誤魔化しながら、生きるための言い訳をする。
「書くまでもう少し私を生かして下さい」と。
ときには闇を払拭するため、より強い光を自身に求め、強い言葉を使うときもある。
それでも、闇が完全に晴れることはない。
慟哭はきっと、一生続くのであろう。
慟哭の中から光輝く作品を作る人がいれば、慟哭の中にいながら舞台の上で光り輝く人もいる。
私もまた強く輝く言葉を生まなければならない。
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純文学作家(自称)
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