「若いこと、貧乏であること、無名であることは、創造的な仕事をする三つの条件である」とは毛沢東の言葉であり、映画監督・宮崎駿さんがよく引用する言葉でもある。
仕事帰りに偶然立ち寄った川崎アトレの前で、4組の音楽グループによる路上ライブが行われていた。
2、3人が熱心に体を揺すりながら応援する周りを、30人ほどの観客がとり囲んでいた。
私はそこから10メートルほど離れたアトレの入口わきの壁にもたれかかり、スマートフォンをいじるふりをしながら1時間ほどそのライブを聴いていた。
そのグループがどれくらいの知名度があり、どれほどの収益を生んでいるのかまったく知らないが、気がつくと私は1人、涙を流していた。
私はもはや若くもなく、食うに困るほど貧乏ではなくなった。
システムエンジニアという対人の仕事で創造の力がまったく求められないこともないが、それよりも日常をまっとうに過ごすことが求められている。
そうしてわずかばかりに得た金を、支援と称して垂れ流してきた。
きっと私は、若さというものに嫉妬していたのだと思う。
若い人へ。
月並みな表現だが、若さとは可能性の塊である。
無名であることが、かえって表現にもなる。
自分が何者か、という定義に縛られないで、とことんやれるからこそ、若者は尊い。
自分を規定しないで果敢にチャレンジして行って欲しい。
限界はまだ先にある。
安易な道に走らず、自分の可能性を信じて生きて下さい。
祭多まつりのWEB SITE
純文学作家(自称)
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