落選原稿その⑥ 詩部門

君と絆創膏
 

君の裸の背中を見たら泣きたくなった
僕はうしろから、君の細い身体を抱きしめる
首にキスをしながら僕は呟く
「他に好きな人がいるんだね」
君はクスッと笑って振り向いて
「いるわけないよ」と僕をみつめる
僕は慌てて話題を変える
「背中、傷でもできた?器用なんだね」と呟くと
君は真顔になってつまらなそうに視線をずらす
「うん、なんかできちゃって」
僕もたぶん、そう思う
きっと、何故かわからずできてしまった
背中に貼られた絆創膏
その絆創膏の上に赤い文字で「好き」と書かれていることを、君は知らない
 

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