祈り

人間を特徴づけるものに【祈る】という所作がある。
人類の歴史は祈ることとともにある、と言っても過言ではない。

10万年以上前の死者には、丁重に埋葬された痕跡があり、人類は文字を書きとめるはるか以前から、【祈る】ということを行ってきた。

酸素を吸い、命を食し、二酸化炭素を吐き、代謝を行い、老廃物を身体から排出し、眠り、夢を見る。

それと同じように、人は生きるという日常の時間の中で、祈りを捧げてきた。

愛しあい、新たな命が生まれ、やがて死ぬ、その命の営みの中にもまた、人は祈りを続けてきた。

朝が来たことに祈り、太陽が昇ることに祈り、日が沈むことを祈ってきた。

雨が降ることに祈り、雨が上がることに祈り、雨が止むことを祈ってきた。

家族が健康であることを祈り、誰かが幸せであることを祈り、世界が平和であることを祈ってきた。

今日まで続く祈りの連続が、人類を人類たらしめ、人が人でいる限り、祈りは続くだろう。

明日も、明後日も、人はまた祈る。
来年も、再来年も、人はまた祈る。

どうかあなたが、幸せでありますように。
どうかあなたの愛する世界が、幸せでありますように。

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純文学作家(自称)