スーパーヒーロー

私にとってスーパーヒーローと言えば、地蔵菩薩である。
10歳の頃から憧れている。
理由はいずれ書くが、地蔵菩薩という存在によって、私は救われたのである。

地蔵菩薩は大乗仏教の経典である『地蔵菩薩本願経』に登場する菩薩である。

地蔵菩薩は裸足に袈裟を纏い、左手に如意宝珠という丸い玉を、右手には錫杖という杖を持ち、地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道を衆生救世のために旅をしている。

地蔵菩薩の本願はいろいろあるが、私がもっとも感動を覚えるのは、地蔵菩薩は人々を救った後で、私が一番最後に救われればいいと本気で思い、それを実践しているところである。

私が憧れてやまないそんな地蔵菩薩であるが、地蔵菩薩もまた、56億7千万年もの時間を、憧れるように待っている存在がある。
その存在が、弥勒菩薩である。

弥勒菩薩は兜率天という、天ではあるが、まだ欲のある者が住む場所で、そこにいる者たちに説法をするという修行を行っている。
この修行が完成するのが、56億7千万年後なのである。

弥勒菩薩が来たら、たちまちみんなを救ってしまうだろうと言われている。
現に弥勒菩薩は未来において修行を完成させ悟りを開いているので、たまに未来から姿を変えてやってくることがある。
そんなスーパーな存在なのである。

地蔵菩薩は弥勒様の本体がやってくるのを、裸足で地獄や人間界を歩いて頑張っている。
待つ地蔵菩薩もすごいが、地蔵菩薩がその頑張っていることを疑わない弥勒菩薩もすごい。
そんなすごい弥勒菩薩であるが、弥勒菩薩にも尊敬してやまない存在がある。

それがお釈迦様である。
弥勒菩薩はお釈迦様に憧れて、お釈迦様のように人々を助けたいと、自ら修行を始めたのである。
私の憧れる地蔵菩薩が憧れるスーパーな弥勒菩薩が憧れるお釈迦様であるが、お釈迦様が私より素晴らしいと言っている存在がある。

それが毘盧遮那仏である。
毘盧遮那仏は、もうその存在があるだけですべてが救われるというものである。
スーパーミラクルである。

そんな私の憧れる地蔵菩薩が憧れるスーパーな弥勒菩薩が憧れるお釈迦様が素晴らしいという毘盧遮那仏であるが、毘盧遮那仏は何かというと、私もあなたも、あなたが吸う酸素も私がはく二酸化炭素も、すべてが毘盧遮那仏と言われている。

えっ?となる。
もう一度書こう。

私の憧れる地蔵菩薩が憧れるスーパーな弥勒菩薩が憧れるお釈迦様が素晴らしいという毘盧遮那仏は、実はあなたである。

えっ?!
私は、感動せずにはいられない。
地蔵菩薩にしろ、弥勒菩薩にしろ、こんな壮大な話を誰が物語として経典に書き表したのであろうか。
自分の功名心や、けちな心が恥ずかしくなってくる。
そしてすべての存在に、感謝したくなる。
ありがとう。

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純文学作家(自称)