人は生まれ何を為すのか、ということをずっと考えていた。
すべての人間はこの世に生を成した因があり、すべての物質はこの世に形を成した因がある。
では、その果は言葉通り未来においてどのような結果となるのか、そのようなことをずっと考えていた。
宇宙はやがてすべて消えてなくなる。
触れるもの、感じるもの、心に浮かぶこと、すべてに等しく思いを巡らすよう務める。
息を吸い、息を吐く。
その儚さの中で、それでも人は、今、生きている。
人は生まれ何を為すのか。
応えは、何も為さなくてもいい。
彼は昔、為すことがあるならばそれを為せ、と言った。
それは、人は人としてすでに為していることを指している。
その上で特別に何かを為すことがあれば、それを為せばよい。
人として為して生まれた人間は、すでに為すことが成就されている。
命を食し、大地を歩く。火を灯し、言葉を話す。
その間に、時が経つ。
衣服を纏い、家を建てる。自然と闘い、人と戦う。
人はやがて、死を迎える。
私はただ瞑想している。
私は私であることをなくそうと務めている。
言葉を選択することをやめ、考えることをやめる。
地球上の広大な空から、特定の酸素を口に含むことをやめ、時間の中で存在することをやめる。
宇宙空間に、一つの白い物体が浮かんでいる。
骨。
足は折り畳まれ、手は複雑な形で結ばれている。
即身成仏。
宇宙はそんな夢を、今日もみている。
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純文学作家(自称)
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