アポロンとディオニュソス

この世界には2つの拮抗する力が働いている。
宇宙はエントロピー増大の法則に従っているが、ときにそれに反する結晶現象が起こっている。
生活の中では、日々「建設と破壊」がおこり、芸術活動にはアポロンとディオニュソスが潜んでいる。
さて、作家にとってこの制御と秩序を象徴するアポロン的現象と、陶酔と快楽を象徴するディオニュソス的現象のどちらが大事だろうか。
ニーチェは晩年、永遠に創造し破壊する生の繰り返しという彼の哲学の核心を、ディオニソス的と規定している。
そうしてニーチェは狂っていった。
結論から言えば、作品の出来不出来は、ディオニュソス的に広がろうとする意思に対する、アポロン的要素の強度が問題になる。
狂気と呼ばれるような、制御不能に拡散していく意思をどこまで管理できるか。
狂気を孕んだ意識を上昇させていく。
成層圏を越えて、銀河を越えて、宇宙を突き抜けるような自由意思をどこまでも離さず意志のコントロールを保てるか。
それが成功したときに生じたた結晶が、一つの作品となる。

以上は通常の作家やアーティストの話である。
純文学作家は、狂わねばならない。
狂いつつ目覚める。
私にとって酒は狂気を冷ます鎮静剤だが、書くためには酒が増える。
しばらく、迷惑をかける。

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