冬に、重ねる

空から降り注ぐ、白い雪。
薄い一枚一枚の氷の華びらが幾重にも重なり、世界を白銀にしている。
世界が綺麗に見えるのは、あなたの心が綺麗だからと誰かが言っていた。
天は試すように、地上に華を重ねる。

踏み付ける地面からザクザクと音がする。
寒さに震える身体をひきずって、地上を歩いている。
男の視界に映るのは、白く汚れた世界か、輝く世界か。
確かなことは、男はこれからまた一つ、罪を重ねる。

重ねた服を脱ぎ捨てて、
二人は一糸纏わぬ姿で横たわっている。
寒さから逃げた先に冷たく吹く風はない。
だが二人は何かに震えるている。
それが何か分からぬまま、二人は唇を重ね、それから慰めるように体を重ねる。

様々な思いを感じとる。
人の生きる道は、すべて肯だと思う。
だから私は、言葉を重ねる。
遠く離れた町で、あなたに想いを重ねながら、私は今日も、生を重ねる。

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純文学作家(自称)